「BL」マンガの金字塔 芸術教養エッセイ:マンガと教養


私自身はBL(ボーイズラブ)マンガを読みません。しかし、ファン、特に女子のファンが多いことは実感しています。実際、私の友達にも、芸術教養の学生にも、西キャンパスの学生にも、物凄くたくさんいますから。

 

私の友達からは、「○○は名作だ!」と割と最近の名作を勧められています。でも、まだ読んでいません。忙しすぎて心の余裕がないからです。

 

ところでBL、ボーイズラブ、という言葉が使われるようになったのは1990年代からだと言われています。しかし、それよりも遥かに昔から、BL的なマンガ作品は沢山ありました。

 

有名どころでは、竹宮恵子先生の『風と木の詩』。1970年代当時はセンセーショナルに捉えられていたようですが、心理学者の河合隼雄さん、社会学者の上野千鶴子さん、寺山修司さんなどインテリ層からの評価は高く、今も名作だと言われています。

 

それよりも前に発表された、萩尾望都先生の『ポーの一族』と、その前作になる『11月のギムナジウム』、『トーマの心臓』なども、良く知られています。これまたインテリの厚い支持があります。

 

竹宮先生や萩尾先生と同世代の、いわゆる「24年組」の山岸凉子先生が描いた『日出処の天子』も、また重要な少年愛作品でしょう。この作品は1980年から雑誌連載が始まったそうです。もう40年以上前の作品なんですね。

 

先日、あるところで『日出処の天子』を再読しました。これは、BL、少年愛だけでは語れない幅広さと深さを備えた名作だと強く感じました。例えば、虐待ともいえる親子の葛藤を描いた作品でもあります。男女の恋愛のマンガでもあります。古代の最有力豪族(蘇我氏、物部氏など)や大王の一族(皇族)の政治的闘争を描いたバトルマンガでもあります。キャラクターも非常に多彩で、群像劇としても楽しめるのです。

 

最近のBL作品しか知らない人には、「BL」という言葉が無かった頃の、これらの作品を読むと、何か新鮮なものが得られるのではないでしょうか。これから寒くなり、お家時間が増えるでしょうから、その時にぜひどうぞ。私も時間と心の余裕を作って、友達が勧めるBLマンガを読みます。